2010/07/09

和歌山大学にてリチャード・オバリー氏講演

 都内大学で開催予定だった論議会が中止になってしまったなか、リチャード・オバリー氏が6月10日、和歌山大学の英語のクラスに招かれ、質疑応答などを含めた講演会が開かれました。一部では「ザ・コーヴ主演のリチャード・オバリー緊急特別講演会」と書かれていましたが、”緊急”ではなく、リチャード氏が来日する以前から、主催者側や関係者と綿密な話合いの上企画され、和歌山大学の学生による多大な努力によって実現した素晴らしいイベントでした。  

 イルカ猟が行われている太地町の地元大学という事もあり、たくさんのマスコミ関係者が参加し、学生や大学関係者合わせて約250人の参加者が集まりました。当日は約半数の学生が映画「ザ・コーヴ」を既に観ており、映画、イルカ猟、日本の食文化など様々な観点からの疑問を学生ら自身で論議し、事前アンケート調査を行い、健全な討論の場を設けたいという希望から、太地町長の三軒一高氏と太地町漁業組合宛に招待状を送ったそうです。残念ながら太地町関係者の方は当日参加されませんでしたが、今回のこのイベントで、賛否両論、「太地町のイルカ猟」について学生達の自由な発想を元に論議できる機会となりました。
 

 かつて「わんぱくフリッパー」に出演し、イルカの調教師でもあったリチャード氏がイルカのキャシーの死をきっかけに世界各国でイルカ解放活動を始める事ととなった経緯が学生により紹介された後、リチャード氏から映画「ザ・コーヴ」に対する抗議活動の事、イルカ肉に含まれる水銀問題のこと、自分の世界的なイルカ解放活動の内容に関する話がありました。
 

 学生からは批判的な意見もあったが、リチャード氏の活動を支持する声もあった。講演前後に行われたアンケート調査の結果は下記の通りでした。


「イルカ猟についてどう思いますか?」

<講演前>
とても反対・反対:8.7%
どちらでもない:64.3%
とても賛成・賛成:26.9%


<講演後>

とても反対・反対:34.2%

どちらでもない:64.3%

とても賛成・賛成:19.3%




「『
ザ・コーヴ』は反日映画であるという意見に賛成ですか?」

<講演前>
とても反対・反対:31%
どちらでもない:25.7%
とても賛成・賛成:43.3%


<講演後>

とても反対・反対:44.7%

どちらでもない:19.6%

とても賛成・賛成:35.7%


 





 その他、「イルカ肉は食品として危険性に関してどう思うか?」という質問に対しては、48%は「消費者が判断するべき」と答えた反面、32%は「流通をストップさせるべき」「何らかの規制を設けるべき」と答えた。


 一方、「イルカ肉を食べる習慣については?」47%個人的には食べないが、食べている人がいることには抵抗がない。21%自分も食べないし、食べるべきではない。31%食べてもいいと思う。という結果だったそうだ。

 リチャード氏も「批判的な意見もあったが、学生達がこの問題についてとても真剣に考えてくれた結果だ。」と語っている。必ずしも批判的な意見だけではなく、リチャード氏の活動を支持する声もあり、講演前と講演後で賛成と反対の比率に変化がありました。今回この講演会に参加した和歌山大学の数人の学生が、実際に太地町へ足を運び、太地町長や関係者との対談を行ったそうです。

 この素晴らしいイベントの企画に携わった関係者の皆様、和歌山大学の学生の皆様に、厚く御礼をお申し上げます。ありがとうございました。